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ブラックソナタ

◇そなたの名は・・・?
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「ブラックソナタ」は、シェイクスピアの『ソネット集』という詩集のなかの「ダーク・レディ(黒い女)」をモチーフにしたソロゲームです

ダーク・レディはあくまで作品に登場するキャラクターですが、歴史上の人物の中にモデルがいるのではないかとも言われており、「ダーク・レディはいったい誰か?」というトピックは古くからあったようです。
文庫

その謎の女性の正体を探索と演繹的推理で特定しよう、というのがこのゲームなのです
ある程度ボードゲームに通じている人向けに説明すると「スコットランドヤード」+「スルース」というところでしょうか

1人で追いかけっこ
ゲームの最初にレディの正体カードがランダムに1枚伏せられます
このカードにある、3つのアイコンを特定するのがこのゲームの目的(勝利)なんですが、その手がかりを得るにはロンドン中を逃げ回るレディを発見しなければなりません

このレディを追いかける部分が「スコットランドヤード」的な仕掛けになっているんです

「スコットランドヤード」は、怪盗Xプレイヤーと捜査陣チームに分かれて対戦する追っかけっこゲームです。捜査陣は怪盗Xの居所を探し出すのが目的で、当然怪盗Xは見つからないように逃げ回るのが目的です

1人が潜伏して逃げ回り、それを追いかける、という構造はのちに「フューリー・オブ・ドラキュラ」や、切り裂きジャックものの「ホワイトチャペル」などに受け継がれてますが、この「ブラックソナタ」はソロゲームです

プレイヤーはレディを追いかける探索者側なので、逃げ回るダークレディはゲームのシステムが担当します
この仕掛け(システム)が、なかなかよくできてるんですよ
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レディの居場所を探るには潜伏(ステルス)カードを使います
潜伏カードにはレディのシルエットが印刷されています

セットアップで、潜伏カードを特定の順番にソートしデッキに組むことで、レディの秘密の移動ルートが決まります
ルートはループしているので、デッキをいくらカット(シャフルではなく)してもループは壊れません
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そして潜伏カードの裏面にはアイコンの1つが記されており、マップ上の街の同じアイコンに対応してます。レディはそのアイコンのある街にいます

ただし街にあるアイコンは重複してたりするので、例えばカード裏のアイコンが〔家〕だとすると、マップ上には4ヶ所の〔家〕アイコンのある街が存在します。レディはその4ヶ所のどこかにいる可能性がある、というわけです

そしてダークレディは毎ターンの最初に、1移動します。デッキの次のカードが〔樹木〕だった場合は、〔家〕から隣接する〔樹木〕アイコンのある街に移動したということなのです



レディはいるか?
レディを捕捉するには、自分の駒も同じ街にいて探索アクションをしなければなりません

探索すると決めたら、その街カードの上に潜伏デッキのトップカードを重ねます
街カードには穴が開いていて、その重ねた2枚をひっくり返すとその穴(虫眼鏡になっている)からレディのシルエットが見える、という仕掛けなのです

もちろん、その街にレディがいなければ穴からは何も見えません

レディを発見できれば、手がかりカードを1枚見ることができます
この手がかりを得ることが、レディを特定する第一歩です

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いた!


本人を特定せよ
「スルース」やその派生である「クルード」などは、あらかじめ隠された要素(凶器や物証など)を特定するには、他の要素を確認して消去法によって正解を絞っていきます

手がかりカードには、最初に伏せられたカードの紋章(スート)に対して、そのカードにはいくつのアイコンが一致しているか、の情報が載っています

例えば伏せられたカードの紋章が〔薔薇〕だとすると、入手した手がかりカードの〔薔薇〕のところに1、とあれば、その手がかりカードの3つのアイコンのうち、1つが正解だということなのです

最大でも正解が2つまでしか分かりませんから、複数の手がかりカードが必要にはなるでしょう


ここで厭らしいのは、0/2という結果があることです
これは2つ正解か、もしくは正解はゼロのどちらかという意味です
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しかしマスターマインドや紙ペンゲームの「数当て(ヒット&ブロー)」をやったことがある人なら分かりますが、「正解ゼロ」は非常にありがたいヒントなのです

なぜなら、その3つのアイコンをまるまる消去できるからです

「ありえない可能性を消していけば、最後に残ったのが真実だ」というのは有名なホームズの推理法の1つですが、やはり消去法で真実を絞っていくのは推理ゲームの醍醐味です


入手する手がかりカードが増えていけば、3つのアイコンは論理的に特定されていきます
ホームズ
初歩だよ ワトソン君

タイムリミットまであとわずか
ただし、あまり悠長にもしてられません
このゲームにはタイムリミットが設(もう)けられています。潜伏デッキの底には最初にカウントダウンカードが仕込まれているのですが
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プレイ中に、このカウントダウンカードがデッキのトップに出てきたらデッキは1周したことになり、デッキが3周するまでに正解を導かなければ負けです(初期設定では)

じゃあ、どんどん手がかりカードを入手すればいいのですが、そもそも手がかりカードはレディを発見しないと入手できません。レディを発見するには、その街に自分の駒がいる必要があります

ターンの手順は、
1)レディの移動(トップカードをデッキの底に入れる)
2)プレイヤーのアクション

を繰り返していきます

アクションは
・移動
・探索
・霧カードの実行
・パス
とあり、このうちの1アクションしかできません

なので、レディが隣にいるとわかったとしても移動すると、同じ手番で探索はできません

そして次のターンの最初にレディは移動してしまうので、ケツを追いかけているばかりでは探索ができないのです


発想を変えましょう
追いかけるのではなく、待ち伏せるのです

探索するには、その手番でレディが自分の駒の街に移動してくれないとできません

ただしこの待ち伏せで思惑が外れることもあるし、ようやく捕捉したと思って探索するとハズレ、ということもあるのです

しかも探索アクションをした場合、レディを発見しようがしまいが、手番の終わりに入手した手がかりカード1枚につき、レディの移動アクションをしなければなりません

ストーカーの視線を感じたレディは、スタコラサッサと逃げてしまうわけです
それだけデッキが消耗する、ということなのでカウントダウンも早まってきます

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居場所はわかっているのに、追いつけない・・・


探偵の敗北
「ブラックソナタ」では負けシチュエーションはもう1つあります

探索アクションをしたら、霧カードをデッキに入れなければなりません
手番で探索したいとおもってもデッキのトップカードが霧カードだと、その手番では探索できないというお邪魔カードなのですが、この霧カードが尽きてしまってもクリア失敗です

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探索アクションのたびに霧カードが差し込まれていく


がんがん探索して、霧カードがなくなったらもう手がかりカードは入手できません
そうなるとそれまでに入手した手がかりで正解を導きださなくてはならないのです

2つまでは特定できたけど、あと1つが50%の確率、ということはよくあります
そうなったらもう、刑事のカンというやつに頼るしかないですな(そして外す)



初回プレイでは、ルールの把握もぼんやりしてたこともあり、イチかバチかの探索で手がかりカードを入手しては、最後に50%の特定で成功したり失敗したりしてましたが、レディの移動メカニクスを把握してから、俄然面白くなりました

追いかけるのではなく、先回りする

こちらより先にレディは移動してしまうので、追いかけていては捕まりません。まあ、たまにうっかりとレディの方からこちらの街に移動してくれることもありますが
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レディは次に墓地に移動してくる。50%の確率でレディを捕捉できる


手がかりカードに関していえば、これはけっこうドロー運があります
いい感じで手がかりがわかる場合もあれば、後半ギリギリまで最後の1アイテムが特定できない、ということもあります

「ブラックソナタ」では難易度が調整できます

潜伏カード(裏面)にはアルファベットがふってあり、ある配列でデッキを組むことで難易度が変わるんですね(そのためのソートがちょっと面倒ではありますが)

おなじ難易度でも「レディが移動しないかもしれない」可能性のデッキを組むこともできます
このあたりはよく考えられていて、非常に感心しました





一方、一番肝心の手がかりカードは、アイコンとヒントの組み合わせは固定されているので、極端なことを言えば以前にプレイした(紋章の)手がかりカードのアイコンを憶えていれば、セットアップの時点で見当がついてしまいます

同じ紋章のカードは2枚づつあり、セットアップ時に伏せられたカードと同じ紋章のカードを抜出しておきます。だから正確に言えば、アイコンを完全に憶えていたとしても初手で正解するのは50%ということになりますが

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もう1枚の手がかりカードの上に街カードデッキを乗せておく

抜き出しておいたもう1枚の予備カードは、マップ上の街を全て訪問すると公開できます

そう、レディを探索する他に、全ての街を通過することでも手がかりを得ることができるのです。これにより、目の前のレディを探索にいくか、効率よく全ての街を訪問するのかのちょっとしたジレンマもあります


デジタル時代のアナログ捜査
最近は、アプリを利用した捜査ゲームや、脱出系、謎解き系のゲームもたくさん目にするようになりましたが、パソコンもスマホも存在しないヴィクトリア朝時代を舞台にしたこの「ブラックソナタ」は、多少システマチックなところもありますが、レディの追跡とアイコン特定の推理要素を無理なくアナログゲームに落とし込んであります

捕まりそうで捕まらない
待ち伏せしていれば、するりと逃げられる

まさに気まぐれ猫のようなレディを発見したときは、してやったり!の楽しさがあります

それでは今夜こそ、レディの正体を暴いてやりましょうか


ということで

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追記:

プレイミス
これはソロゲームではよくやりがちなことなのですが、今、この瞬間が手番のどのステップなのかを見逃しがちです

僕は初回のプレイで、まだルールをしっかり把握してなかったこともあり、手番で駒を移動させた後に探索アクションをやってました

上記でも説明したように、手番でできるアクションは
・移動
・探索
・霧カードの実行
・パス
のうちの1つだけです

ただし、トレーニングモードでは移動の後、同じ手番で探索してもいいので、最初はトレーニングモードをプレイした、という言い訳は一応通用しますが

そしてこのゲームは思考型でもあるので、やはり手番中のステップを見失いがちです
特に手がかりカードを入手したときは、新たなヒントに思考を巡らせてしまうので、そういうことが起こりますので、注意が必要です



プレイミスその2
あと、街カードを間違えたこともありました

ロンドンの街名に馴染みがないのと、筆記体ということもありShoreditch(ショーディッチ)とSouthwark(サザーク)を間違えました

探索アクションで、ここをミスってたらどうしようもありません

街カードはアイコンでも識別できるようになっているので、よく確認した方がいいですね



霧カード
探索アクションをしたときには、霧デッキから必ず霧カードを1枚、潜伏デッキのトップカードから2枚目に差し込まなければなりません

探索で使った潜伏カード(街カードに重ねるやつ)は、その後ディスカードされるので、移動ループのデッキ枚数を維持するために、霧カードを入れる必要があるんですね

ところが、最初の1~2回くらいの探索ではこの霧カードをデッキに入れるのを忘れがちです


霧カードその2
記事では詳しく説明してませんでしたが、潜伏デッキのトップが霧カードだったらその手番では探索アクションはできません。その代わりに霧カードの効果を使うことができます

霧デッキのトップカードをめくって、そのテキスト効果を利用するのです

テキスト効果は、手がかりカードを1枚入手できたり、駒を任意の街にワープさせたりといろいろ強いアクションがありますが、もしそれが不可能だったら即、負けになるというリスクもあります

霧デッキを消耗するので、できれば使わずにおきたいところですが、難易度が上がってくると適切なタイミングで霧カードを利用するのは攻略の1つかも知れません


難易度調整
基本ルールでは、潜伏カードのアルファベットをAからZまで並べます
カードにはアルファベットが上下で8ヶ所あるので、それぞれのスロットを使えば8回異なるルートデッキで遊ぶことができます

そして下段の黄土色のバーのアルファベットスロットを使うと、レディは「移動しないかもしれない」という移動プログラムを作ることができます
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上部の紫バーのスロットは、レディが必ず移動するので移動先も捕捉しやすいのですが、移動しないかも知れないバージョンでは待ち伏せ作戦が空振りになる確率が高くなります

逆にいえば、同じ街に自分の駒があるときは、そのまま留まってくれる場合もあるのでそいういうときはラッキーですね

移動先もだいたい複数の街に枝分かれするから、追いかけるのも待ち伏せするのもなかなか大変なんですが、あるときレディの居場所が一つの街に絞られる瞬間があります

「スコットランドヤード」でいえば、怪盗Xが顔を出した瞬間ですかね

このときはテンションあがりますね
試行錯誤している最中に、ある要素がピンポイントでフォーカスされる瞬間、といいましょうか、数ある可能性からたった1つの真実を見つけた快感、といいましょうか

レディの追っかけはなかなかドラマチックです


難易度調整その2
ルールブックの後半には、難易度によって並べるアルファベットが一見無秩序に並んだ表があります

基本のAからZに並べる場合は8ヶ所の特定のスロットを利用したのですが、この難易度によるソートは、必ず左上のスロットだけを使います

つまり左上のアルファベットを難易度別に並べるんですが、ここで間違えやすい(僕も勘違いしてた)のは、「移動しないかもしれない」バージョンのソートも、カードの左上のスロットで揃える、ということです

基本ソート(A~Z順)では「移動しないかもしれない」はカード下部の黄土色のバーを使うので、こちらの難易度表でも同じようにソートしてたら、必要なカードが揃わないのです

おかしいと思いgeekのフォーラムで調べたら、全て左上のスロットで揃える、という公式解答があったのでした

いや、これ、非常に紛らわしいよ



ゲームの寿命
記事でも少し言及しましたが、レディの追っかけパートは非常によくできていて、捕まりそうで捕まらない絶妙なバランスが楽しいのですが、一方で一番肝心の謎解き、つまりアイコン特定は、手がかりがフィックス(固定)されているため、数回プレイするとその紋章のアイコンはあれとあれだな、と特定できてしまうところが惜しい

まあ、僕は記憶力には自信がない方なのでもう少しは遊べそうですが、それでも気になることには変わり有りません

ただ、「フェアユース拡張」というものが出ているので、さっそく注文してみました
これがどのくらいゲームの幅を広げてくれるのか分かりませんが、とりあえず遊んでみようとは思います

プリント&プレイ
じつはこのゲームはgeekにプリント&プレイのデータがあります
しかし一番肝心の街カードのパンチ穴を自分で上手に開けなければなりませんが、とりあえず遊んでみたい人はトライしてみてはいかがでしょうか

ついでに言えば、有志による日本語ルールもアップされてます(お世話になりました)しね


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ロンドン(2版)

◆楽しいロンドン 愉快なロンドン
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1666年に発生したロンドン大火からの復興をテーマにしたマーティン・ワレスの「ロンドン」はそのテーマ性と、カードコンボうまー、のゲーム性も含めて僕の好きなゲームの1つです

初版にあったマップボードがなくなり、ロンドンの地区カードに置き換えられたのが2版です。今回はこちらのセカンドエディションでプレイするソロバリアントを紹介しましょう。これがめちゃくちゃ面白い! 


「レンのチャレンジ」ルールリンク
ゲームのカードにも登場するクリストファー・レンは、焼失したロンドンの復興に尽力した建築家です。今回のソロバリアントは最後に条件を満たしてでクリアできるかどうかの達成型です
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◆セットアップ
オートマは、オートマデッキ12枚をシャフルして山札にします
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オートマとプレイヤー(あなた)に6枚づつカードを配り、オートマはそのカードを表向きでスタックにします

プレイヤーは最初に£5を受け取りますが、オートマはお金を含めて貧困駒などのリソースは一切受け取りませんし、カードのアクションも行いません

オートマの役割は対戦相手のシミュレートではなく、プレイヤーのカードドローの自由を適度に邪魔すること(だけ)です

最初の手番はプレイヤーですが、オートマの手番ではオートマデッキからカードを1枚めくってドロー処理をするだけです
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オートマの手番ではオートマデッキからカードを1枚めくって処理するだけ。たとえばこの場合だと、発展ボードの上部左端のカードを1枚ドローして、オートマの表向きのスタックに重ねます

で、このソロチャレンジの目的は以下の通り

・茶色カードの建造物10種類以上
・青とピンクの建造物7種類以上
・土地カード7枚以上
の建築

これに加え、ゲーム終了時に
・貧困駒が10個まで
・借金タイルを持っていない

という2条件をクリアしていなければチャレンジ失敗となります



最初のチャレンジでは貧困駒と借金が返済できずに失敗
2回目では借金はなんとか返済できたのですが、貧困駒オーバーでやはり失敗

このゲームは、貧困のコントロールがリアルの対人戦でも大きなテーマとなります

「ロンドン」では、自分の前に建築したカードを活性化させることでお金や勝利点を獲得するんですが、しかし必ず貧困駒を引き受けなければならない、というユニークなメカニクスを持っています

自分の建築ディスプレイにある、スタックにつき1貧困に加え、手札1枚につき1貧困を引き受けるので、手札のマネージメントが非常に大事です

「ロンドン初版」のルールブックでワレス本人が「手札をいっぱい持っているときに、街を運営(活性化)してはいけません」とアドバイスしてますが、言われなくても分かっているんだけどこれがなかなか難しい

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手札の上限は9枚。こんなときに街の活性化を行ったら貧困駒13個が押し寄せてくる

最初は3スタックくらいで回して上手くいなかったので、3回目からは4スタック態勢に切り替えました。これには理由があります

それまでの失敗から、お金がなくなると身動きできないことを学んだので序盤はとにかくお金を稼ぐことに集中します
そのためにはスタックが多い方が、集金効率が良い

3回目のチャレンジではこれが上手くいきました
高収入があるとまず借金しないで済みますし、土地カードも好きなタイミングで購入できます

手札から建築ディスプレイにカードを建築するには、同じ色のカードをコストとして発展ボードに配置(ディスカード)しなければなりません

4つのスタックにカードを配置できれば、手札がいっぺんに8枚くらい処分できる、というメリットもあるのです

これで貧困のコントロールと集金はうまくいきました。あとは、各色カードを規定枚数建築しているかどうかですが、惜しくもピンクのカードが2枚足らずにチャレンジ失敗です

次のチャレンジでは青カードが足らずに、失敗・・・


「レンのチャレンジ」というタイトル通り、建築家レンがタイトルロールなので、各色で建造物のカードだけがクリアの対象となります

茶色カードの中には、人物系というか職業系のカードがありますが、これらは対象外です。お金になるので序盤では割と利用はしますが、規定枚数にはカウントされません

さらに同じカードは1種類と数えるので、便利な『病院』は何枚使っても1種類としかカウントしません。『橋」や『地下鉄』なんかもそうですね

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これまでは貧困をコントロールすることに必死で、プレイしたカード内容はざっくりしてました。そこで次からは、青とピンクの建造物カードをしっかりカウンティングしてプレイすることにしました(←最初からやれよって話)

ここでネックになるのが、オートマによるカード出現の変動性です

「ロンドン」では、手番の最初に必ず1枚ドローしなければなりません

これは山札か、発展ボードのカードのどちらかでも構いませんが、山札なら運任せで、発展ボードならカードを選んでドローできます。なんなら直前の手番で自分が発展ボードにディスカードしたカードをまた回収することもできるわけです

オートマの場合は、めくったオートマカードでドロー処理が決まります

オートマカードには発展ボードのどこからカードをドローするかいくつかパターンがあって、もしその指定ポジションにカードがなかったり、『貧民』だったりした場合は(オートマは発展ボードからは『貧民』はドローしません。ちぇ)その代わりに街デッキから直接ドローしてきます

この山札からの直接ドローが、こちらのプレイに影響します

「ロンドン」の終了条件は1つしかありません
それは街デッキが尽きたとき、です

プレイヤーは発展ボードからドローすることで、意図的にゲーム終了を遅らせることができますが、オートマは発展ボードの指定場所にカードがなければ山札をガンガン削ってきます

しかも、ただ単に街デッキから直接4ドローするという凶悪なオートマカードも2枚もあります

貧困や借金をコントロールできても、終盤であきらかに青やピンクのカードが規定枚数に足りない、という事が分かった時点で、もうクリア失敗確定なのです

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オートマはドローするだけではありません。例えばこの場合だと街デッキから1ドローしてスタックに追加した後、スタックの上から3枚を発展ボードにリリースします。これによって、オートマにガメられてた欲しいカードが再登場してくる、かもしれません

その後、ようやく青とピンクを規定枚数集めることができましたが、今度は再び貧困コントロールがうまくいかず、この頃から貧困オーバーでの失敗が続きます

うーむ
スランプです

青やピンクの建物カードは、配置するときに追加でお金がかかるカードが多く、そのやりくりで資金が尽きてきます。土地カードを購入して貧困駒を除去するのが一番手っ取り早い方法なのですが、その資金もないためにクリア失敗・・・ということが続きました

うーむ
スランプですpart2

ところが、ここで あ る こ と に 気づいてしまいました
           

ゲーム終了時、残った手札1枚につき1貧困を受け取ります
このために対人プレイでは手札は使い果たすか、できるだけ最少枚数に抑えたいところなのですが、ちょっと待てよ、と

ゲーム終了時に貧困駒をまったくもっていなければ、クリアできるのではないか・・・・

「ロンドン」では手札上限は9枚です。それ以上持っている場合は手番終了時に9枚になるように捨てなければなりません(これを利用して手札の「貧民」を捨てるというテクもあるんですが)

つまり、ゲーム終了時には最大でも貧困駒を9個しか受け取らないので、みごとに条件を達成できるのです!

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    ひらめいた!

最終形をはっきりイメージしたので終盤近くに慎重にプレイし、建築ディスプレイには『下水道』を複数枚配置して、いつでも手もちの貧困駒を全撤去する準備ができました

そしてオートマに終了フラグを切らせて、最後の手番で街を活性化。手もちの貧困をクリーンアップし、残り手札5枚なので終了時に貧困5を引き取って見事クリアー!

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長かった・・・。ついにロンドンを復興した、と思ったのだが・・・

・・・と喜んだのはいいのですが、うっかり街の活性化後の貧困駒の受け取りを忘れてました

あああああああああああああああ

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最後手番。活性化で手もちの貧困7駒はオーバーキルしたんですが、この後、貧困8駒を受け取るのを忘れてて浮かれてしまった

街を活性化させて終わるなら、極端にいえばスタック9で手札を0枚にする
もしくは最後手番は街の活性化をせずに、ゲーム終了時の手札の分を入れても貧困を10個以下になるようにアクションする、ということになりますかねぇ


協力ゲームでは、初回はあと一歩で失敗するのが絶妙なバランスだと言われてます
このソロチャレンジも、あと1枚、あと1駒、あと2金のやりくりが間に合わずに失敗することがほとんどで、僕はこの一週間夢中で猿のようにプレイしました  うきーーーーーーーーー

そしてプレイするごとに攻略法を見つけては実践し、失敗してはまた模索する、というのが楽しくて楽しくてしょうがありません

オートマの処理もシンプルなので自分のプレイに集中・・・いや、全集中できるのも面白いソロバリアントに必須の条件ですね

まだまだしばらく、ロンドン復興に挑戦できそうです
俺のチャレンジはまだ終わらへんでー!


ということで
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◆追記:
あれから丸亀製麺の卵あんかけうどんを食べた後、再チャレンジして、今度は今度こそは本当にクリアしました

いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー長かったーーーーーーーーーーーーーーーー

終了間際になってもピンクカードがあと1枚入手できず焦ってたら、間際になんとかゲット

ただ、以前にも、手札に必要カードは持っているのにお金がなくて配置できない、という状況があったため、稼げるときになるべくお金は稼いでおきました

さらに、必要カードを持っていても同じ色のカードをコストでディスカードできなくて配置できないこともあったので、「1金払えば配置コストのカードの色を変えられる」能力のあった土地カードにも働いてもらいました

これで総額26金かかりましたが、30金の貯金があったので、なんとか必要カードを全て配置できたのでした

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ラス前でお金を使い果たして必要カードをどどどと建築

オートマの手番で街デッキが尽きて終了フラグ。
こちらの最後の手番では「3枚ドローする」アクションを選んでも手札は6枚なので、貧困10駒でクリアです

もしくは街を活性化させても、手元の貧困駒と手札はさばくことができる体制だったのでどちらを選んでもクリアは確実です

ただクリア後に得点によって称号が貰えるので、なるべく高得点で終わるにこしたことはない。街の活性化によって得点が増えるので、そうすることにしました
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建造物カードの規定枚数もクリア。ここで数え間違えがあったら、またロンドンはしばらく暗闇に沈むところでした

カードのゲーム終了時の得点を加算します
残った貧困駒は6個なので、7減点ですが、集計すると68点でした

王から授けられる称号は以下の通り:

80点以上:公爵
79点: 侯爵
69点: 伯爵
59点: 子爵
49点: 男爵
40点以下:騎士


68点なので、惜しくも伯爵には届かず「子爵」止まり

ただし、もし公爵をゲットしても、まだこのチャレンジは終わりません




◆チャールズ2世チャレンジ じゃじゃーん

公爵の称号を得たプレイヤーのみが許されるのがこのチャールズ2世チャレンジで、達成条件が少し厳しくなります

・土地カード8枚以上
・茶色カード、12種類以上
・青とピンク、8種類以上

もちろん、無借金と貧困10駒以内、という条件もそのままです

土地カードと茶色カードの達成は問題ありませんが、青とピンクの8枚以上はかなり頑張らないと難しそうです

っていうか、まずは公爵にならねば
いつもいつでもうまくいくなんて保証はどこにもないけど
あこがれの公爵になりたいな、ならなくちゃ、絶対なってやる!

公爵になる前に、とりあえず腹ごしらえするとしましょうか
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子爵のお食事

寿司うまー


グランドオーストリアホテル

◇お一人さま、ご歓迎いたします
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再び緊急事態宣言の発出によりゲーム会がしばらくお休みになった影響で、またおうちでソロプレイの機会が増えてきました

最近では最初からソロプレイに対応したボードゲームも増えています
「クーパーアイランド完全日本語版」は日本語版発売のときに、拡張のソロプレイキットが同梱されてます

フェルトの「黄昏の篝火」も1人からプレイ可能で、最近のフェルトには懐疑的になってたため発売後しばらくスルーしていたのに、けっきょく入手しました


「グランドオーストリアホテル」はもともと好きなゲームです。しかしこのゲームのプレイ人数は2-4人であり、ソロプレイには対応してません

ところが世界にはソロプレイ好きがどこにでもいるようでw たいていのボードゲームにはソロバリアントを提供する有志がたくさんいます
「グランドオーストリアホテル」のソロバリアントも、geekのフォーラムでいくつか見つけましたので、紹介してみたいと思います

※ちなみに今回はソロプレインの紹介記事です。本編のグランドオーストリアホテルがどんなゲームなのかを知りたい人は、いろいろ優れたレビューや紹介記事がありますので、そちらを参照ください

精神科医のボードゲーム日記:レビュー:グランドオーストリアホテル http://takewatch.blog.jp/archives/5940026.html
※ゲームのメカニクスの解説。時代背景などの言及もあり読み応えがあります

今日ももプレイミス:【ゲーム紹介】グランド・オーストリア・ホテル https://plaza.rakuten.co.jp/coloredpencils/diary/201510020000/
※だいたいのルールはこちらで把握できます。永峰さんの和訳も重宝します



◆ソロプレイバリアントその1:オートマ
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リンクはこちら>Automa variant

いわゆるダミープレイヤーの手番をカード化して(オートマデッキ)、2人プレイに近いプレイ感を想定したバリアントです

オートマデッキ「バラージ」「サイズ:大鎌大戦」「マラカイボ」や、上記で紹介した「クーパーアイランド」や「黄昏の篝火」でも使われてます

「グランドオーストリアホテル」は、1ラウンドで2手番アクションします。1手番づつ実行したら今度は最後手番のプレイヤーが続けて2手番めを行い逆順に手番が回ってくる、いわゆる”カタン回り”で進行します

このため、プレイ人数が多いと最初のプレイヤーが1手番目を終えると次の2手番目は一番最後になるので待っている時間が長い、という特徴があります

しかもこのゲームは手番ではダイスを1個ピックして、対応したアクションをするだけなんですが、その1アクションでボーナスのコンボを連鎖させるのが大事なのでけっこう1手が重い

つまりどうしても長考気味になるので、手番順のシステムとも相まって2人プレイがベストといわれてます(僕は慣れたもの同志なら3人くらいのプレイが好きなんですが)

2人プレイがベストといわれたら一番手っ取り早いのはダミープレイヤーを想定すること、にはなりますね

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ダミーの手番ではオートマデッキから1枚カードをめくって、その処理をします
このゲームでは、最初にディスプレイからゲストカードを獲得して、その後ダイスをピックするんですが、オートマカードもその順番に処理するわけです

「グランドオーストリアホテル」はゲストを誘致して、ゲストの注文に応じて食べ物や飲み物(リソース)を用意し、顧客が満足したらやっと自分のホテルに泊まってもらえます

しかし同じ色の部屋を用意していないと、その顧客を泊まらせることができないので、客の注文より先に部屋の準備したり、プレイに有利になりそうなスタッフを雇ったりと、効率よくホテル運営を回していくのをあれやこれやと考えるのが楽しいゲームなのです

ところがダミーは、顧客を獲得したら食事も提供せずに即座に部屋に泊まらせます
部屋の準備もなしに!

その上、部屋タイルは連結するように配置しなければならない、というルールも無視します

繁華街の暴利なキャッチバーですら最初に呼び込みするのに、ダミーは問答無用に客をホテルにぶち込んできます。拉致です、拉致

ダイスドラフトの多くの目的は、顧客を部屋に泊まらせるための準備のためのアクションなので、ダミーのダイスピックはただの妨害行為です

このゲームでは皇帝トラックを進めていけば恩恵がありますが、進めておかないとペナルティを受けるという要素があります

皇帝トラックを進めるのもダイスドラフトなんですが、オートマカードでは勝手に進んでいきます
しかもダミーは恩恵も受けない代わりにペナルティもありません。しかししっかり皇帝トラックによる勝利点だけは受け取ります

どんだけ上級国民なんだよ、ダミー君


「グランドオーストリアホテル」での勝利点の取り方はいろいろありますが、3枚ある方針カードの達成は無視できないでしょう

いわば共通の目的カードで、最初にその目的を達成したほうが得られる勝利点も高い

これはプレイの指針にもなってるわけで、まずはこの目的に向かってプレイするのがセオリーなんですが、これがなかなか計画通りに進めるのは難しい・・・ んですが

ダミーはなんの迷いもなく、カードに表示があればそのタイミングでしれっと目的達成してしまいます
方針カード3枚で最大45点は取れるので、ここはダミーより先に押さえたいところ・・・なんですが
そううまく行けば苦労はありません

ただ方針カードを達成させる、ということはいろんな得点パターンも同時にクリアしていくことも多いので、はやりプレイの指針としてはここを軸にすべきでしょう

オートマカードでは後半ラウンドにならないと方針カードの達成シンボルはでてこないので、それまでに目的が達成できるかどうか時間との勝負です

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オートマカードはめくって処理する。最初にその色のゲストカードを取って、部屋に泊めて、ダイスを1個除去する。そのラウンドに対応して皇帝トラックも進んでいく。4ラウンド以降は方針カードも達成してくる

このソロバリアントの目的はもちろんダミーより勝利点を稼ぐことですが、結果的に、周回遅れで負けてしまいました

久しぶりで、ルールや効果の確認で勘違いがあったりしたこともあったんですが、やはり直接ゲストをホテルに宿泊できるスピードには付いていけません

ゲストカードにも勝利点があるんですが、オートマはもし同じ色のゲストカードがあれば勝利点が高い方をかっさらっていくので、毎ターンがんがん勝利点が入っていきます

方針カードも自動的に3枚押さえてくるので、とても勝てそうにありませんでした



◆ソロバリアントその2 リンク>Solo play simplified
こちらはかなりシンプルなルールです
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ダミーのボードも使わず、手番も実行しません
プレイヤーは毎ラウンド、2手番実行しますが、ダミー(というより仮想敵)の手番のタイミングで毎回右端のゲストカードが捨てられるだけです

ちょうど2人プレイのときの、2番手3番手を実行するというシミュレートなので、使うダイスは10個ではなく、9個です(既にダミーによって初手でダイスが取られているのと同じ状況)

スタッフカードは9枚ドローしたあと、3枚捨てます(6枚保持)

特徴的なのは、ABCの方針カードをランダムに1枚づつ決めたあと、プレイヤーの任意でその順番(ABC)を決めることができることです

どうしてこうするのかというと、4ラウンドめの開始時にダミーは一番左の方針カードを自動的に達成するからです。次のダミーの手番、つまりそのラウンドの最後には次の方針カードも達成してしまいます

ラウンド毎に、方針カードのディスクを置く場所が2つづつ潰されていくわけですね
ダミーは1人ではなかった!

ただし、これには対抗策があります
ダミーのディスクが置かれる場所とタイミングは固定で決まっているので、先にプレイヤーがその方針カードにディスクを置けば(達成)いいのです

これでダミーの達成をブロックすることができます

最初にプレイヤーが方針カードをABCではなく任意の順番にしていい、というのはダミーに先んじて、自分が達成できそうな方針カードの順番を組み替えるためです

このバリアントの目的はスコアアタックなので、どのくらいスコアを伸ばせるかを楽しむわけですね




◆ソロバリアントその3:大公チャレンジ The Archduke Challenge - A Grand Austria Hotel Solo Variant
いまのところ、このバリアントが一番面白い!

ノースリーブ派の僕が、カードのシャフル効率化とカード保護のために全カードをスリーブに入れたくらいです
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これまでダミープレイヤー型、スコアアタック型と紹介してきましたが、このバリアントはクリア型といえるでしょう

目的はいたってシンプル
ゲームが終了するまでに、3つの方針カードを達成するだけです
1つでも未達成ならクリア失敗

ダミー用のボードやコンポーネントは一切使わないのでセットアップも簡単です

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必要なのは方針カードなので、手が届くところに置く


ただし2人プレイを想定しているので、手番順タイルだけは用意します。もちろんラウンド毎に手番タイルを交換します

ダミーの手番の処理もいたってシンプル。ゲストカードとダイス1個を除去するだけです
ゲストカードの場合は、一番勝利点の高いゲストを優先的に除去します。もし同額のカードが複数あった場合は右端に近い方を優先します

ダイスの場合は、一番個数の多いアクションエリアからダイスを除去します(というか、ダミーの手番タイルに乗せます)

個数が同額の場合は、出目の大きい方が優先されます
こちらも言い方を変えれば右端に近いほうからタイブレーク、ということです

このバリアントが優れているのは、ダミーの処理が本当に簡単なので自分の手番に集中、いや全集中(流行り言葉)できることです

そして自動処理によって排除されるゲストやダイスも分かっているので、そのあたりも考慮して自分の手番でどうプレイするのか、何を優先的にすべきなのかをじっくり考えられるのがいいんです

ゲストによっては1枚で10勝利点のやつ、いや失礼、お客様とかいらっしゃいますもんで、そういうカモ・・・そういう顧客は真っ先に逃げていってしまいます

といって、そういうセレブを呼んでくるにはお金がかかるので、ホイホイ呼び込みするわけにもいかず、うーむ、悩ましい


グランドオーストリアホテルでは、ダイスの個数は多ければ多いほどアクションには有利です。なので一番多いエリアから1個でも取られるのは、けっこう地味に痛い

逆にいえば、取られるエリアは分かっているし、こちらの手番が先なら意図的に取らせるエリアをコントロールすることもできなくもありません

初回では、方針1つが未達成だったのでクリア失敗しました
2回目は見事3つ達成で、クリア成功!
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方針カードが同系統で揃っていると、達成もそれほど難しくない


このバリアントはクリアしただけでは終わりません

クリアした後、獲得勝利点によって大公から称号を授けられます

170点以上:公爵
150点以上:侯爵
130点以上:伯爵
110点以上:子爵
90点以上: 男爵
89点以下: 騎士

今回は108点だったので惜しくも子爵には届かず、男爵どまりでした
もちろん目標はさらなる高み、公爵の称号です
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グランドオーストリアホテルの欠点の一つに、アイコン効果の検索性の悪さがあります
こうなったら自分でサマリーを作るしかありませんね

ルールにははっきり書かれてませんでしたが、僕は最初のスタッフカードは10枚ドローして4枚捨てにしました

それと方針カードは達成のためだけのチェック要素なので、方針カードの達成勝利点は加点してません


そしてこのバリアントでは公爵クリアしたら、さらに皇帝チャレンジが待ってます

これは方針カードを3枚決定した後、残りの方針カードをシャフルして4枚目の方針カードを追加します

この4つの方針カードを達成すればクリアになります

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セットアップで方針カードや皇帝トラックのボーナスタイル、ディスプレイに並んだゲストカードを眺めながら、どのスタッフカードを残すのか考えてる瞬間が本当に楽しいですね

当分、楽しくソロプレイできそうです
ここにコーヒーとシュトルーデルがあれば、いうことはありません
キャチャ
映画「イングロリアスバスターズ」でランデ大佐が食べてたのがシュトルーデル
美味しそう


ということで






ブラックアウト香港

◇大至急、復旧せよ
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今回のコロナ騒動、コロナ禍は人々の生活様式を一変させました
リモートワーク、長い自粛生活

われわれボードゲーム好きにとってもその影響は甚大で、何ヶ月もボードゲーム会が開かれないという、これまで考えたこともない事態が続きました

そういうときにもめげないのがボドゲ勢(クラスタ)です
対人で遊ぶことが大前提のボードゲームですが、ここ数年、1人からでも遊べるソロプレイモードが搭載されているボードゲームが増えてきました

まさか、コロナ禍を予言してソロプレイを搭載していたわけではないでしょう
ルールの複雑化からあらかじめ理解しやすいようにソロルールを入れているのかもしれませんし、もしかしたらビデオゲームへの対抗策なのかもしれません
(まあ、かなり昔からウォーゲームやシミュレーション系では1人用のボードゲームというのも存在してましたが)


ゲーム会に行けないけど、ボードゲームがしたい(触れていたい)ときはソロプレイに限ります


僕もこの機会にいくつか1人用ルールのあるボードゲームを遊んでみました
その中でもとても面白かった「ブラックアウト香港」を紹介しましょう
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実は発売当初、2人で対人プレイをしたときは「んー、悪くないね」くらいの煮え切らない印象でした。けっしてつまらなくはなく、それなりに面白かったので再プレイの機会があればまた遊んでみようと思ってたのですが、どうしても新作の波に押されて2回目をプレイすることはありませんでした

ソロプレイでじっくりこのゲームと向き合ううちに、一つのルールがいくつも解釈できてそれがプレイの幅を広げたり、ルールを理解すればするほどその面白さに病みつきになったのでした

やはり重ゲー(といってもモンバサやグレートウェスタントレイルに比べればはるかにシンプルですが)は何度も遊んでこそですね



「ブラックアウト香港」のカードの使い方は同じ作者(フィスター)の「モンバサ」を踏襲してます

カードをプロット(裏向き配置)して一斉公開して、カードのアクションを解決する、という流れですが、「モンバサ」よりもカードの情報量が少ないためプレイ感はそれほど重くない

おもな勝利点の稼ぎ方は、地区の復旧時(駒でエリアを囲う)の小決算や、ゲーム中のいろんな効果による勝利点稼ぎ、ゲーム終了時の偵察タイルのセットコレクションとカード自体の勝利点

対人プレイでは勝利点での比較勝負になりますが、ソロプレイではキャンペーンをプレイします
キャンペーンでは、チャプター(章)ごとに勝利条件を満たすことが目的となるわけです

ざっくりと説明すると、ラウンドは8フェイズあります
①資源ダイスロールとカードの計画
②ボランティアと専門家の配備
③目的の達成
④偵察
⑤新な目的の獲得
⑥事後処理
⑦区域の復旧
⑧手札の補充とチェックアクション


8つもフェイズがありますが、要するに
・最初にダイスを振って資源を確定し、カードをプロットして効果を発動させる(フェイズ①~③)
・偵察タイルを漁る(フェイズ④)
・カードを購入して、カード列の補充および飯と水の廃棄処理(フェイズ⑤⑥)
・地区を囲めたら決算(フェイズ⑦)
・カードを回収したらチェックアクションを任意で実行(フェイズ⑧)
ってことです


山札が尽きたら、1ラウンド追加でプレイしてゲーム終了です
ではさっそく、レッツソロプレイ!




<チャプター1>
さっそくチャプター1です
このシナリオの勝利条件は
・緊急対策カードの3つの目標の達成と
・75勝利点以上を取る、です(ソロプレイ)

セットアップ時に、マップ上の任意の地点に初期駒を配置します

緊急対策カードのミッションの1つに2ヶ所のA地点のルートを繋げる「A地点-A地点」があるので、初期駒をこのルート上に配置しておけばいいでしょう
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真ん中のミッションは、プレイしたカード列にその色を配置すればいいので、達成は簡単です

問題は最初のミッション、偵察タイル2種類の獲得です
今回は〔勝利点系〕と〔ガソリン系〕ですね

偵察タイルは7種類あり、それらがシャフルされて各地区に3枚づつ裏向きでスタックされています。そこからまずは必要なタイルをさがさなければならない

偵察アクションは、自分の駒が接している地区の中から選んで偵察できるんですが、獲得するには必ず手札1枚が病院送りになるリスクがあります

GPSトークンや、永続的な偵察アイコンを増やしてからでもいいのですが、それでは見つけるまで時間がかかるでしょう

実は、偵察タイルを確認したけど、タイルを獲得することを「やーめた」してもいいんです

その場合、確認した3枚のタイルは表向きに地区に戻されます
これを利用して、序盤はとりあえず偵察タイルを手あたりしだいに表向きにしていきましょう

これはソロプレイならではのプレイです
もし対人戦でやろうものなら、情報を他人にタダで与えるようことはできません
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偵察できる地区も縛りがあるのですが、ルートを繋げていくうちに確認できる地区も増えていくので問題ありません。運が良ければ、早いうちに目的のタイルがみつかるでしょう

早々に目的のタイル2枚を獲得したからといって、偵察アクションをスルーするのはもったいない。というのも、地区を囲って復旧すると、そこにある偵察タイルは消滅してしまうからです。
偵察タイルにはいろんなボーナスがあり、資源ダイスの出目が悪くてもこのボーナスを利用できますし

とはいえ、よほど運が悪いか下手なことをしない限りこのシナリオを失敗することはないでしょう

【結果】97点(★★★) おお、幸先のいいスタートです




<チャプター2>
今回は緊急対策カードBの、2つのミッションを達成して50勝利点以上を取ることが条件です
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チャプター1より勝利点が下がってるし、ミッションも2つ達成すればいいから簡単になってるかといえば、実はセットアップで山札からカードを48枚も除外されます

チャプター1が33枚の除外だったので、いっきに15枚、ラウンド数にすればおそらく3~5ラウンドは短縮されてます

つまり今回は、短い時間で3つのうちどのミッションを達成するか、そして50点以上をどうやって稼ぐかに頭を悩ますことになります



ソロプレイでは、カードを1枚も買わないと強制的に一番上の列の右端のカードが除去され、さらにその後各列から1枚づつディスカードされます

そして列のカードがなくなったら山札から3枚補充されて、山札がどんどん減っていきます。時間との勝負、なんとかしなければなりません

このチャプターでは、カードの購入の仕方によって山札が枯渇するのを遅らせるテクニックを覚えることになるでしょう
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対人プレイではカードの購入にはある種の駆け引きがあるのですが、ソロプレイではお金と、カードを保管しておくスペースに余裕さえあれば複数枚買うことができます

ただしラウンド数がすくない本シナリオでは、カードの買いすぎに注意です

【結果】50点(★★)かろうじてクリア、危なかった。最終決算で、10金で2点取れたのがよかったかな(ゲーム終了時、5金につき1勝利点)。紙一重





<チャプター3>
最初に除去するカード枚数は33枚なので、チャプター1と同じくらいのプレイサイズですが、勝利条件が追加されます

・マップの中央にある地区の周囲に4個以上駒を配置すること
キャプチャ
このエリアに4駒配置すれば条件はクリアするが、どうせなら囲って最大得点を得たいところ

地区を復旧することで、駒数に応じた勝利点を得ることができます
マップ上では最大で7駒、最少で3駒で囲む地区があります

もちろん駒数が多い方が勝利点も大きいので狙っていきたいところ
特に今回は最大地区の周囲に4駒配置する条件なので、ついでに中央エリアを復旧させましょう

個人ボードに確保してあるボランティアや専門家、もしくは目的カードを入手するときにカードの色に対応した地点マスに駒を配置できます
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赤いカードなら赤い地点に、黄色カードなら黄色の地点マスに駒を配置できる。目的カードをクリアすると任意の地点に駒を配置できる。いわばワイルド

既に配置している自分の駒に隣接するようにしなければならない、という配置ルールがあります
地区を囲むために、どのカードから順番にクリアしていくのかに非常に頭を悩まします

個人ボードに確保できるカードは人物カード3枚に、目的カード1枚
適度にカードをクリアしながら、近い将来的に必要なカードを購入していく計画性が求められるでしょう

目的カードは、クリアしたとき任意の地区マスに配置できるワイルドカードなので、人物カードの色がままならないときに便利です

さらに目的カードはクリアすると、チェックアクション可能になったり、永続効果があったりします。この効果によるコンボをぜひ組み込みたいところです

例えば〔ガソリン1生産〕と〔ガソリン1を3VP〕なら、チェックアクションするだけで自動的に3勝利点を稼ぎます

目的カードによる駒の自由配置は非常に使えるテクニックです

コンボ目的ではなくても、手っ取り早くクリアできそうならどんな目的カードでもいいから1枚は常に確保しておく、ということはよくありますね
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これは偵察アイコン+1、それと「衣料品」1つ獲得と「衣料品1を3勝利点に変換」があるので、チェックアクションで自動的に毎回3勝利点を稼ぐコンボ


【結果】111点(★★★) 三ツ星獲得です。この調子で突っ走ったるで!





<チャプター4>
ここまで順調に達成してきたキャンペーンですが、始めての挫折です

今回追加された勝利条件は
・4ヶ所以上の赤地点マスに駒を配置

そこでマップを吟味すると中央よりのルートで赤地点4つは確保できそう。
初期駒をそのうちの赤地点1つに置けば、あと3つ配置でよい。ただ、このとき初期のボランティアカード2枚の色によっては、それらを効率よく最速に配置するために、どちらにもリーチできる中間地点に初期駒を配置する戦略もありえます
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緊急対策カードでは「C地点ルートの確保」があります
これが罠でした

C地点とC地点を繋いでいると、赤地点4ヶ所確保が非常に難しくなるのです
ただ緊急対策カードの達成はどれか2つクリアすればいいので、C地点ルートを無視するのもひとつのやり方です

赤地点4ヶ所は、最短で7駒(初期駒を除けば6駒)で達成できます
そこでいつでも赤地点に配置できる手前までプレイを進めて、他のミッションなどにかまけていたり、「あれ、これついでにCルートもいけんじゃないの」と色気をだして失敗したりします

罠です
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よく見れば、C地点の左下からの赤地点4ヶ所確保ルートならいけそう。でもそれが罠かも

そこで3回目のチャレンジではわき目もふらずに、まず早い段階に赤地点4ヶ所の確保をしてから他のミッションをクリアする戦略でいきました

結果、ミッション2つもクリアし、赤地点4ヶ所も確保しました・・・が、今度は勝利点がまるで伸びない

50点・・・


勝利点の条件は80点以上なので、まったく足りません。それどころか★の60点にすら届いてない

どうしたものか・・・




80点を取るにはどうするか

個人ボードには2ヶ所ロックされている要素があります
ここはクリアすると、
・カードをプレイできる4スロットめが利用できる
・残り手札が6枚以下で、カードを回収できる、能力を獲得できるんですが、同時にそれぞれ10勝利点得られるのが大きい

ここをクリアすることでまず20点を確保しましょう
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そして偵察タイルは、7種類集めるとゲーム終了時に14点を取ります
これで34点

カード自体にも勝利点があります
積極的に高額のカードを獲得して、カード勝利点でなんとか30点以上は欲しい
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あとの20点はやはり地区の復旧でしょうか

赤地点4ヶ所を確保しつつ、そのからみの地区を復旧させていけば効率も良さそうです

まずは個人ボードにある〔電力復旧任務〕の1つ、4列目にもカードをプロットできる方を最速でロック解除することにしましょう

なぜかというと、この任務はカードの色を揃えて10金支払うだけなので手順さえ間違えなければ最速で解除できるのです

もう1つの理由は、緊急対策カードのミッションの1つであるカードの色揃えと、おおまかな部分で色配置が被ってるので、緊急対策カードミッションをクリアしつつ、こちらの任務も達成できるわけです

ただ10金をどうするか・・・

初期資金は4金です
そして初期セットの専門家【機械工】をプレイすれば、6金ゲットできます

つまり初手で10金にしようと思えばできます
ただし、この段階ではまだカードの色が揃ってません

セットアップの左端の黄色カード列で条件を揃えようとしても、最短で3手番かかります

そして、その3手番の間にもし、欲しいカードが並んでも涙をこらえてスルーするしかありません

ここはじっと我慢のフェイズです
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最速でロック解除するのに3手番かかるが、その価値はある

飯や水を廃棄したときに、少しの収入が入るときもあります。そうした場合には10金を確保しつつなるべくカードの購入も視野に入れます

しかし、よーく考えたら緊急対策カードのカード色揃えミッションを達成すれば、5金ボーナスが入ってくるんでした。1手番余計にかかりますが、先にミッション達成して5金を確保するのも悪くないかもしれません

【結果】62点(★)
少しは点数が伸びましたが、まだまだです

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だいたい偵察タイルのセットを揃えるのは後回しにしがち

実は偵察タイルが思うように揃わなかったのは誤算でした
以前のチャプターでは、個人ボードの〔情報1をGPSトークンに変換〕のチェックアクションをうまく使って、偵察タイル7種類をコンプリートしてたので同じ方針でいったのですが、〔情報〕の出目がなかなか出なかったのが痛い

仕切り直しです

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





【結果】を先に言いましょう





クリアできました! しかも121点(★★★)!

これまでの試行錯誤や、経験を積んだことで適切なタイミングを見極め効率のいいプレイイングができたことも大きいでしょうが、実はある”必勝法”を実践してみたのです

必勝法とは・・・





デッキ圧縮作戦です




まあ、ゲームの強い人は最初からデッキ圧縮が有効であることはさっさと見抜いていたでしょう。僕はちょっとズルしてgeekのフォーラムの戦略スレッドでこの方法を知りました

要は、初期の弱いボランティアカードを【病院】に送って、デッキを強化する、ということです

初期の生産1のカードだけを、どうやって【病院】に送るのかというと、もちろん偵察アクションを実行するのです

偵察アクションは、いくらGPSトークンや、他のアイコン追加の効果で偵察タイルのコストを支払えたとしても、必ず手札から1枚以上を出さなければなりません

例えば、コスト5の偵察タイルを獲得するには、もしGPSなどの追加アイコンをもってなければ偵察アイコン1のカードを5枚セットします

ここからランダムに1枚引っこ抜いて(対人プレイでは隣の人にババ抜きしてもらう)【病院】に送られるんですが、このとき強いカードが【病院】に送られてしまうと痛い

しかし、
トークンや追加アイコンなどでコストが足りてる場合は、手札からちょうど1枚のカードを出せば、そのカードは自動的に【病院】送りになるわけです

ここで初期の「生産1」のボランティアをお役御免にするわけです

その手があったか!

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使い捨てられるボランティアさんたち

【病院】に送られたカードは〔医師〕によって手札に回収できます。うっかり使い勝手のいいカードを病院送りにしてしまったら、あわててドクターに治療してもらう、というイメージだったんですが、回収せずにデッキを圧縮するという発想はありませんでした

「グレートウェスタントレイル」では、安い牛カードを除去する=デッキ圧縮というのがダイレクトにイメージできたのですが、「ブラックアウト香港」ではまず偵察タイルを獲得するという第一目的に対してのリスク(デメリット)が、ランダムにカード1枚を除去する、という手順を踏んでるために、それがデッキを圧縮することにも繋がってるとは思ってもみなかったのです

偵察アクションの裏に、こんな勝敗を左右するような要素(たくらみ)が仕込まれていたとは・・・

そしてこのとき、あることに気づきました
この仕組みにはもう1つ、重要な使い方がある・・・と
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ドクターには偵察アイコンも勝利点もないけど、重要な役割があるのだ






<チャプター5:最終章>
geekのフォーラムでも、キャンペーンで最難関は4章で、それに比べたら5章は楽勝、という意見もあったのですが、初回はクリアならず

今回、最初に除去するカードは27枚でプレイサイズはこれまでで最長ですが、その代わり勝利点の条件が125(★★)点以上なので、プレイに余裕がある分、かなり突っ走らないといけない

ある意味、これまでの攻略の総決算という感じです
なんだかオラ、燃えてきたぞ!

「侍ジャイアンツ」でいえば、ハイジャンプ魔球、分身魔球、大回転魔球を掛け合わせたミラクルボールを解き放つときがきた! といえば昭和のおやじには十分伝わるでしょう



まあ、やることは個人ボードの2つのロックを外し、偵察タイルを揃えつつ地区の復旧をして、なるべく高額カードを獲得していく
そして隙あらば、チェックアクションや専門家カードなどで細かい勝利点を稼ぐ

その結果は、107点(★)

再チャレンジでは少し伸びましたが114点(★)、クリア失敗です
うーむ、こうなったらとっておきの必殺技をくり出すときでしょう(さっさと出せ)

その必殺技とはジャジャーン、その名も「病人叩き」


医師によって病院からカードを回収するときに、そのカードの勝利点を得ることができます

この必殺「病人叩き」は、ネーミング的にはちょっと問題がなくもないですが、要は【病院】から高額カードを回収して簡単に勝利点を稼ぐ、というなんとも非人道的なやり方です

勝利点の高いカードを病院に送っては強制退院させて勝利点を稼ぎ、まだ負傷から立ち直っていないスタッフをまた病院に送っては無理矢理現場復帰させて勝利点を稼ぎ、ということを繰り返すだけの、簡単なオシゴトです

例えば7点の高額カードを2回回収するだけで14点、これは地区の復旧時の駒数や偵察タイルのセットコレクションの最高得点と同額です

医は算術なり


ただし、もし回収できなかったらカードの勝利点を失うというリスクはありますが、地区の復旧や偵察タイルを集めるコストや手間を考えたら、たった2回で14点取れるんですからやらない手はない


【結果】139点(★★) 見事、クリア!
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偵察タイルも7種類コンプリート


大仰に必殺技をくり出す気まんまんだったのですが実はこのとき、医師のやりくりが上手くいかなくて6点カードを1回回収したくらいでした。

ただし、この6点がなかったら結果は123点でクリアならず・・・だったことを考えると、やはり奥の手だったのは確かですね



最高点に届くにはさらなるプレイの精度がもとめられるでしょうが、かなりの運も必要です
一度「ブラックアウト香港」をプレイしたら解るとおもうんですが、「モンバサ」や「グレートウェスタントレイル」に比べて、かなり運の要素は強めです

ダイス運をコントロールするために輸送(トランスポート)トークンで微調整することもできますが、カードの登場はそれこそ運ですし、対人プレイでは強いカードを取れるかどうかの勝負になるかもしれません

逆にいえば、ソロプレイでは運要素が強いからこそ失敗したときに再チャレンジ欲求が湧いてくるともいえます

特に最難関の第4章をなんども失敗したときは、どうすれば点数を取れるかしばらくずっと考えて試行錯誤してました

geekの攻略法を参考にもしましたが、攻略法が解ったとしても実際にその通りに行動できるかどうかは、運要素があるためにままならないことも多いです

それだけに、うまくプレイが回った時はとても嬉しい!

昔、プレステのRPGやアドベンチャーゲームでプレイに行き詰りながらも試行錯誤しながら解き進めていった、あの楽しい思い出がよみがえりました。懐かしい

この感覚は、昭和のおやじじゃなくても共感できるのではないでしょうか
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災害時、無法地帯にはイリーガルな人物もときには必要なのだ




キャンペーンモードはもちろん対人プレイでも遊べます。シナリオを選んで、勝利条件をクリアした人の中で一番勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します

いくら勝利点を稼いでも条件を満たしていなければ脱落となるので、システムとの戦いにも気を配る必要があるでしょう

もし、1~2回ほど基本ゲームで遊んでそれきり、という人はキャンペーンモードで遊べばまた新鮮に遊べるのではないでしょうか
しかも、今は割と安価で入手できるのはありがたい。発売当時、定価で購入した者からすると忸怩たる思いはありますが、これもリアルダッチオークションだと思って、なんとなく納得しませんか? しなくてもいいですが

というわけで






<プレイで見落とし安い、俺が実際にミスったところを今度は間違わないようにするためのメモ>

ソロプレイをやるときに、けっこう久しぶりだったので改めてルールブックを読み直してプレイしたのですが、そのとき読み落としたルールや、読み間違い、解釈ミスなどがけっこうあったので、実はキャンペーンモードも最初に間違ったままプレイしてました(その後やり直しましたが)

そこで、ここではルールに関するメモを書いておきます。プレイの参考になればなによりです

◆セットアップ

セットアップ時に、マップに1駒だけ初期配置できます。このとき日本語ルールブックP7〔18・親と開始時の地点〕では「任意の地点マス(ゲーム盤上の色のついた円)と書かれてあります

地点マスは色別になってますが、〇やら□やら◇、五角形などがあるのでそのうちの〇の中から任意の地点なのかな、とも考えましたが、よく見るとアルファベットをふってあるところに大き目のサークルが描かれてます

任意の円とはこのことかと思って、最初のプレイではそこに配置してましたがこれは間違いです

実際は、どの地点マスでもOK 文字通り任意の地点でいいのです

実は「ブラックアウト香港」の初版では、地点マスは全て円形で、そこに色付けされていたマップだったのですが、2版のときに色別に形状を変えたのでした(おそらく色弱対策)

ルールブックには初版のときの記述が残っていたのでしょう
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これがおそらく初版のボード。たしかに地点マスは全部円形になってる(geekより画像拝借)

ところで最初のこのゲームを遊んだときに、セットアップで驚きました

各プレイヤーは初期カードを受け取るのですが、そのうち2枚は【病院】に送られ、2枚は個人ボードの配置エリアに待機させます

さらに初期カードの各色3枚は、すでに個人ボード下のスロットにプレイ済み、となっており手札7枚スタート、という、いきなりゲームの途中に放り込まれたからです

ちょうど災害地区に救助活動に向かったら、自分のメンバーのリーダーは負傷してるわ、頼りになるボランティアは登録手続き中だわ、仲間のボランティアもすでに3人は活動中「マジで緊急事態じゃん」という現実に面食らっちゃいます

まさに現場のリアル



◆資源ダイスロール
最初に資源ダイス3個を振って、3種類の資源がでるまで振りなおします。このときペアにならなかったダイスの資源は”固定”となり、それ以外のダイスで3種になるまで振りなおすのかと思ってたんですが、どうやら正式には振りなおすたびに、その都度3個の中でペアになった2個を振りなおす、ということらしいです
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例えばダイスを振って〔飯〕〔工具〕〔工具〕と出たとしたら、〔工具〕2個を振りなおします

その結果〔情報〕〔飯〕となったら、今度は〔飯〕2個を振りなおすのです

えー、そうすると延々と3種類にならないこともなくなくない? とも思ったのですが、実は3個のダイスは色ごとに出目のバランスが違ってます

それはコンポーネントのダイス展開図カードを見れば一目瞭然ですが、この出目配列によって、それほど振り直さなくても3種類になるように確率計算されているようなのです

そして展開図カードをよく見ると、黄色ダイスには〔飯〕と〔工具〕の出目がありませんし、赤ダイスには〔水〕〔情報〕出目がありません

これは重要な情報です
次の手番で〔飯〕がたくさん必要になりそうなのに、黄色のボランティアしか手札になければ〔飯〕を獲得することはできません

このゲームでは必要な資源は他に変換できたり、ワイルドの「バッテリー」などもあるので一概には言えませんが、どの色のダイスにどの資源が出やすいのかを頭に入れて置くことはプレイの精度に関わってくるでしょう
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◆回収フェイズ
フェイズ6の事後処理では、ロンデルに残っている〔飯〕と〔水〕は廃棄されお金やGPSトークンに強制的に変換されます
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このとき〔バッテリー〕の駒を飯や水にして、お金などに変換することはできません
最初はルールミスでこれをやってましたがw




◆コンポーネントは基本無限
駒やGPS,輸送トークンなどは足りなければなにかで代用します

地区の復旧時に配置する家駒も、足りなければ何かで代用するようです
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資源が溢れて駒がたりなくなったので、とりあえず1金で代用してるの図


実録 ウォーターゲート事件

やはり事件の背景がわかってると没入度が違うと思われるので、ウォーターゲート事件の一連の顛末を『映像の世紀』風に実際のカードと共に振り返ってみたいと思います

ぜひ山田孝之のナレーションを脳内再生してごらんください



<序章:リチャードになにが起こったのか>

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1969年1月20日に第37代アメリカ合衆国大統領に就任したリチャード・ニクソンは外交と内政で大きな成果をおさめ、その手腕を内外から高い評価を受けており、72年の大統領選挙においても、圧勝して再選を果たした

その2年後の8月8日の夜、ニクソンがホワイトハウスから全米の国民にテレビで声明を発表した

それは大統領の職を退任する、という表明だった

ニクソンになにが起こったのか・・・


<第一章:発端と疑念と新米記者>


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1972年6月17日、首都ワシントンD.C.のウォーターゲートビル民主党全国委員会本部オフィスに侵入していた5人組の男が不法侵入の罪で逮捕された。それが始まりだった

入社してまだ日が浅いワシントン・ポスト紙の社会部記者ボブ・ウッドワードは社会部部長から、この不法侵入事件の法廷取材を命じられる

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ただの窃盗事件だと思っていたが、容疑者らは多額の所持金や無線機、カメラなどを所有していた。しかも予審が行われる裁判所に、なぜか共和党系の弁護士が傍聴に来ていた

そして容疑者の1人が元CIAの工作員であり、ニクソン大統領再選委員会の警備主任ジェームズ・マッコードであることが判明する
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さらには実行犯の1人の手帳にホワイトハウス顧問チャールズ・コルソンと、ハワード・ハントの名前があり、WHというメモ書きがあった
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WH・・・ホワイトハウスである
この事件とホワイトハウスの繋がりはいったいなんなのか。ウッドワードは、さらに調査を進めていく

またポスト紙ベテラン記者カール・バーンスタインも、この事件に興味を示しウッドワードと2人で事件の真相を追うことになる
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民主党本部に侵入した男たちの背後にホワイトハウスの顧問を務める人物が関わっているのではないかという疑惑が世間を騒がせる

これに対し6月19日にニクソン大統領の報道担当官ロナルド・ジーグラーは、三流のコソ泥(third rate burglary)とコメントして、ホワイトハウスとは無関係であるとして一蹴した。
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また6月22日には大統領が「いかなることにせよ、この特殊な事件にホワイトハウスは関係していない」と声明を出している。先手を打ってきたのだ(仕掛けの一手)
08_20200621000021e7b.jpg仕掛けの一手


バーンスタインとウッドワードは、情報提供者たちへの取材を元に侵入事件とホワイトハウスが繋がる情報をかき集めて記事を書き上げるが、それを見た編集局長ベン・ブラッドリー「証言の裏が取れない内は掲載を認めない」と突き返した
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<第二章:行き詰り>

しかしこの裏では、大統領再選委員会委員長ジョン・ミッチェル、法律顧問のジョン・ディーンらニクソン陣営が集まり、盗聴計画書面の裁断など、もみ消し工作を始めていた
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一方、

事件当夜、ウォーターゲートビルでもたもたしている侵入犯たちに通信機で警察が突入してくることを警告していた男がいた。しかし無線機は通じておらず、目の前で侵入犯たちが逮捕されるのを見ているしかなかった。


その男は盗聴作戦のサポート役であり、元FBIのエージェントであったアレフレッド・ボールドウィンである
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そのときドアがノックされ、ハワード・ハントが部屋に入ってきて彼にこう言った
「バンが川に落ちても気にするな。ここから荷物を持ち出してくれ」
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その部屋、ジョンソンホテル723号室には、向かいの民主党本部に仕掛けた盗聴器を受信するシステムが設置してあったのだ。ボールドウィンはハントの指示どおり、その部屋から不都合な”荷物”を持ち出して処分した


6月30日、

ワシントン連邦地方裁判所で大陪審が始まった。5人の被告は侵入したことは認めたが、誰に頼まれたのか、金銭はどこからもらったのかなどの背後関係については一切口を閉ざしていた

ところが5人の弁護を引き受けた若い弁護士が「私はハント氏ともう1人の人物から弁護を依頼されている」と証言するも、そのもう1人の人物が誰なのかは黙秘した。誰が弁護士を雇っているのか・・・
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情報提供者たちは次々に口をつぐんだ。
彼らになんらかの圧力があったのは間違いなかったが、2人の記者たちは行き詰ってしまう

そこでウッドワードは内部事情に詳しい男に密(ひそか)に連絡を取る
”ディープ・スロート”と呼ばれるその男はこれまでにもウッドワードにヒントを与え続けていた。
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彼は「金を追え」と助言する

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そして二人の記者たちは、事件関係資料の中に犯人たちに支払われた高額の小切手があり、その差出人がニクソン再選委員会であったことをついに突き止めるのであった


<第三章:捨て駒戦略>

「ニクソン再選委の秘密選挙資金が30万ドルに上る」(9月17日)[13]、「ミッチェル前司法長官は在職中から秘密資金を管理していた」(9月29日)[13]、「ウォーターゲート事件は共和党の選挙妨害の1つに過ぎず、秘密資金は35?70万ドルにのぼる」[13]「大統領補佐官が民主党妨害工作に関与、FBI捜査で明らかに」(10月10日)、「秘密資金の支出を管理するメンバーにハルデマン補佐官が」  (10月25日)、などスクープを連発


ところが事件から半年が過ぎ、世間の反応はほとんどなかった。
そもそも犯人たちは下っ端のコソ泥で、政府中枢とは無関係だとみられていたのだ

その結果、11月の大統領選には影響はなく、ニクソンの圧勝に終わり、2期めに突入した。
ニクソンは華々しい雰囲気に包まれたのだ
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バーンスタインは再選委員会の簿記係の女性から、資金の流れを管理していた5人の名前を聞きだす。その中でバーンスタインとウッドワードはヒュー・スローンに直接話を聞きにいく
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スローンは口が重かったが、再選委員会が巨額の使途不明金を扱っており、その人事にはホワイトハウスからの指示があったと証言する


2人の調査でニクソン再選委員会が、ウォーターゲート事件の1年前にも、民主党の大統領選候補の妨害工作に資金を調達していたことを掴む。
この一件には大統領の首席補佐官H. R. ハルデマンが指令を出している疑いが強かった
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しかしアメリカ第2の権力者H. R. ハルデマンの名前を書く重大さに、編集局では議論が沸騰ししていた。


そしてポストはニクソン側近(ハルデマン)が機密費関与との証言」と、二人の書いた記事を載せたが、ホワイトハウスは、その報道が誤報だと強く非難した

情報源の信ぴょう性を確認すると、取材対象だった誰もが「あれは勘違いだった」と証言をひっくり返していったのだ

ニクソン陣営によるもみ消し工作なのは明らかであった・・・


司法長官ジョン・ミッチェルの妻であるマーサ・ミッチェルは、ウォーターゲート事件の犠牲者の一人である。 
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マーサは「“the mouth of the south(南部人のようなおしゃべりの意)」と呼ばれるほど外向的な公人だったが、夫の仕事の内部事情などをマスコミ関係者に漏らすなど、ミッチェルにとっては頭の痛い存在であった

そしてウォーターゲート事件と再選委員会との関係がマーサから漏れるのを怖れたミッチェルは、ほとぼりが冷めるまで妻をホテルに軟禁しようとする。
しかし、夫の同僚(マッコード)が事件の容疑者だと知ったマーサは、知り合いの記者に連絡しているところを取り押さえられ、精神科医によって沈静させられた

なんとかマーサから事情を聴きだそうとするマスコミに対して、ニクソンは「彼女には飲酒問題がある」と、事実とは違うコメントを出した


<第四章:配管工>

そもそも、なぜニクソン陣営が民主党本部の盗聴を行ったのか

1972年のウォーターゲート事件の時点では、東西の緊張緩和(米ソデタント)を迎えニクソンの外交戦略が功を奏し、内政も順調でベトナム戦争の終わりも見えてきた頃である。

しかも72年大統領選挙ではライバル候補者が次々と失速し、ニクソンの当選は確実視されていた。わざわざ敵陣営を盗聴するなどのスパイ行為をする意味がない、と考えられていたのだ

ニクソン政権になってから内部からの情報漏れによる報道によって外交政策や外交交渉に影響を受ける事態を苦々しく思ったホワイトハウスは、1969年に特定の記者や国家安全保障関係者の電話盗聴をFBI命じた。

そして1971年に国防総省秘密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)がニューヨーク・タイムズにリークされてスクープされた。
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そこで政府部内からの情報漏洩を防ぐために作ったチームが、The White House Plumbers(英語版)(別名:配管工、plumber unit)と呼ばれる特別調査ユニットであった。

情報漏洩調査の対象は、当初のベトナム戦争反戦運動活動家や報道関係者からホワイトハウス職員、そして民主党員に広がる。
ゴードン・リディおよびハワード・ハントは、彼らに対して工作をおこなう中心人物だったのである。
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つまりウォーターゲート事件は、連綿と続いてきたニクソン陣営によるスパイ活動のほんの氷山の一角、という位置付けなのである

そして72年2月、鉛管工グループの一人リディーはウォータゲートの民主党本部への侵入をふくむジェムストーン作戦を立案する
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ジョン・アーリックマン大統領補佐官首席補佐官ハルデマン、そして法律顧問のジョン・ディーンらはCIAやFBIに対して懐柔、および事件への捜査中止の圧力をかけるが「政府とは一線を画した組織である」ことを理由に、どちらの組織もホワイトハウスからの打診をはねつける
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<第五章:爆弾発言>

1973年1月8日に、リディとハントを加えた侵入犯被告7人(ウォーターゲート・セブン)は大陪審にかけられて、マッコードとリディ以外の全員が有罪を認めた。
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そしてマッコード、次第にCIAの単独工作ということで政府が自分を主犯格にして幕を引く動きであることを察知して、自ら大統領再選委員会との関係と偽証を認め、翌3月24日に上院特別調査委員会で「盗聴計画はミッチェル、ディーン、マグルーダーの3名が事前に承認を与えた」という爆弾発言をおこなった


マッコードの上院での爆弾証言を契機に国民や議会からも批判が高まり、ニューズウィーク誌がディーン、マッコード、リディらがウォーターゲート事件の関係者だったことをスクープ

ディーンは政府が自分をトカゲの尻尾のように切捨てようとしていることを知り「ニクソン大統領はもみ消し工作を知っていた」と証言し、法律顧問を解雇された
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上院ウォーターゲート特別委員会が設けられたのは1973年2月7日である。
この公聴会は当時全米の3大テレビネットワークだったNBC・ABC・CBSによる連日のテレビ中継によって、ニクソン政権の内情が白日の下に晒された。

関係者が次々と証人として喚問されディーンは「大統領制をガンがむしばんでいる」と証言した
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そして7月13日での特別委員会に出席したアレクサンダー・バターフィールド大統領副補佐官「大統領執務室には自動録音システムがあり、その録音テープが存在する」と証言
 24.jpg録音テープ

この録音テープの存在が公開されると、それまでの発言との食い違いが発覚し自身に不利になることを恐れたニクソン大統領は「国家の安全保障にかかわる」という理由で提出を拒否した。



<第六章:録音テープをめぐる攻防と終幕>

1973年10月20日の土曜日

ニクソンは録音テープの提出命令を無効にするように側近を通じて画策するが特別委員会はこれを拒否するも、とうとう特別検察官を解任する

特別検察官を力で押さえつけたと同時に、閣僚でもあった司法長官と次官を抗議辞任に追いやった出来事はのちに「土曜日の夜の虐殺」と呼ばれることになる
         土曜日

そしてこの強権発動によりニクソン非難の嵐が全米に吹き荒れ、議会で大統領弾劾の動きが始まることとなる
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特別検察官の突然の解任の反発が余りに大きかったために、ニクソンは録音テープの一部を連邦地裁に提出する。
その中の1本に18分30秒の消去された部分があることも判明し世論の疑惑を引き起こしたが、ホワイトハウスは、ニクソンの秘書だったローズ・メアリー・ウッズ電話応答の際に誤って録音機につけたペダルを踏んでテープを消去したと説明した
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だが、ウッズが電話に出ながらペダルを踏むには、体操選手のように手足を伸ばさなければならないなど相当無理な姿勢になることを追求され、ウッズ本人が実際にその様子を再現する、という茶番劇が話題となった
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ニクソンは7月30日に64巻のテープを提出。それはニクソンにとって政治生命の致命傷となるものであった。
このウォーターゲート事件の後半の時期はほとんどが録音テープに関する争いであった。

侵入のわずか数日後に記録されたテープの中でニクソンとハルデマンは国家安全保障に対する問題を捏造することや、事件のもみ消しの指示などが発覚。テープは「決定的証拠(smoking gun)」と呼ばれた。
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こうした中で4月に入って過去の脱税行為が明らかになったり、公開された録音テープの中で大統領が普段の会話で汚い言葉を使っていることと策謀をめぐらしている様子がまざまざと示されたりして国民の不信感は高まり、ニクソンは急激に失速していく

そして8月7日にニクソン大統領は、自らの意思で辞任を決定した。
大統領特別恩赦によりニクソンは以後一切の捜査や裁判を免れたが、恩赦を受けることは有罪を認めることを意味していた。

フランクリン・ルーズベルト以来の大統領は会話の多くを記録した。しかし、ウォーターゲート事件の後にこのような記録の実行は事実上存在しなくなった。
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<終章:ペンと剣>

アメリカ・ジャーナリズム史に残ると言われるポスト紙のウォーターゲート事件報道は1973年にピュリッツァー賞を受賞する
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ウォーターゲート事件は、マスメディアが政治家の活動について報告することにはるかに精力的になる新時代に結びついたのだった

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           <The End>


このエントリは以下の記事を(大いに)参考にしました

◇ウォーターゲート事件 Wikipedia
◇ウォーターゲート事件 http://www.maedafamily.com/kanren/watergate.htm
◇レビュー・アン・ローズのブログ記事:
・実話映画『大統領の陰謀』ワシントン・ポストVSニクソン・再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト
・「ウォーターゲート事件」詳細年表/映画『大統領の陰謀』解説・実話・史実紹介
 http://www.reviewanrose.tokyo/article/459078260.html







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流星キック1998

Author:流星キック1998
チャンスがあればいつでもボードゲームがしたい!誰か遊んでプリーズ

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