『嘘つきダイス』 ビル・プロンジーニ

『嘘つきダイス』 ビル・プロンジーニ

各プレイヤーが自分のダイスを振って、全体でどの目がいくつあるかをビッドしていく『ブラフ』というゲームについてはこのブログでも紹介したことあります
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僕はこのゲームがお気に入りなのですが、ヨットというダイスゲームが「ヤッツィー」という商品になっているように、この「ブラフ」もなにかもともとのネタがありそうという気配はしてました

そもそもブラフは「ライアーズダイス」という商品名でした
『世界のゲーム辞典』(松田道弘)にも「ライアーダイス」というゲームが紹介されてますが、こちらはポーカーダイスという専用ダイスを使ったゲームで、ボードゲーム版『ブラフ』とはやり方が違ってます

※ポーカーダイスを使った「ライアーダイス」は、5個のダイスを振って自分だけが確認した後にポーカー役を宣言します。そして次のプレイヤーはその宣言役に対してチャレンジするか受け入れるか、受け入れたら今度はそのプレイヤーが(いくつかダイスを振りなおした後)役を宣言しなければならない(もちろん、最初の役より上の)という、今考えたら「ファブフィブ」のようなブラフゲームです

その当時は、ゲームに関する文献もあまり周囲にはなく、ネットも発達してないのでそれ以上調べようがありませんでしたが、思わぬところでその元ネタと遭遇しました

それが『嘘つきダイス』という短編小説です
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僕がなぜその号の『EQ』を買ったのかは忘れました
多分、92年度のベスト5目当てでしょう(年度ベストをブックガイドとして好んで読んでましたので)

作者のビル・プロンジーニは名無しの探偵(オプ)シリーズで有名な多作家です
・・・といいつつ、僕が読んだことあるのはノンシリーズものの『雪に閉ざされた村 』(扶桑社ミステリー) くらいですが
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「ちょっと、あの、嘘つきダイスは、やりますか?」(小梨直・訳)
というバーでの誘い文句から始まります

主人公と同じくらいの40代の中年。初めて会ったような、どこかで見かけたような印象を受けます

その男が一杯賭けてダイスをやらないか、というわけです
バーにはダイスとダイスカップは付き物なので設定に無理はありません(といいながら僕はバーには行ったことないので偉そうにいえませんが。映画やドラマ、小説での知識です。今はどうなのでしょうか)

お互い自己紹介をしたあと、さっそくゲームに入ります

ここで、嘘つき(ライアー)ダイスの簡潔なルール説明(インスト)が入ります
”おもしろいゲームというのはみなそうだが、嘘つきダイスも別にむずかしいところはない。少なくともルールはいたって簡単”です

両者(主人公と男)はそれぞれ5個づつダイスを持ち、カップで振って自分だけが確認します
そして交互に、どの目がいくつあるのかを競り上げて宣言していくのです

”プレイヤーは自分のダイスと、相手のダイスの目の予想に基づいて--つまり十個のダイスの合計を考えて、その数を決めるわけである。嘘をついても真正直にやっても、どちらでもかまわない”(小梨直・訳)

これです、これです
これこそが『ブラフ(ライアーズダイス)』そのものです

ボードゲーム版と違うのは、★(ワイルド)の目がないことと、振り直しルールがないこと、そしてもちろんビッドに使うボードがないことです

この嘘つきダイスは『パイレーツ・オブ・カリビアン2』にも登場したことで、一時期話題になりましたね

プロンジーニの短編では、嘘つきダイスには自信があった主人公ですが25回中2勝しかできないほどコテンパンにやられます
※小説の内容をほぼ紹介します。もし興味のある方は図書館でバックナンバーを探して読むことをお勧めします

記事その1

ところが相手は人当りのよい紳士なので、つい心を許して自分のプライベートなこと、会社での悩みなどを話します

ついしゃべりすぎて気まずくなった主人公は
「ここいらへんでやめておこう。今度はあんたの話を聞こうじゃないか」と話題を振ります

最初は旅行が多いという話をします
ヨーロッパや南米ではなく、国内(アメリカ)が多いという

気の向くままに出かけるという
この土地に来たのも気まぐれかというとそうではない

ここで男は自分の趣味を打ち明けます
”聞き間違いかと思った「え・・・今、なんて?」
「人殺し」
「まいったな、なにかの冗談ですか?」
「いいえ。まじめな話ですよ」
「どういうことです、人殺しとは」
「だから、人を殺すんですよ」”


これまで9年半、13州で19人を殺してきた。もうじき20人になるという

男は、殺す人間は無作為に選ぶが、一度標的に選んだ相手を徹底的に調べる
そして猫がネズミをもてあそぶように、じっくり観察しながら、時にその人物の前に姿を現したり、次の標的はあなたですよ、と面と向かって宣言することもあるという

”「そうやって数日が過ぎ、(略)相手にとっては思いもよらないときに、銃で一発、あるいは走ってきた車の前に突き飛ばすか(略)
殺人の方法というのは、実にいろいろありましてね(略)」
「まさか・・・まさか・・・、あんた・・・」
「え、何ですか。次の標的はこの自分じゃないだろうな って?」”


主人公はパニックに陥ります
じっくり人物を調べ上げる・・・どこか見た顔だと思ったのはもしかしたらずっと自分を監視していたのではないか・・・

ところが相手は、ウインクをしながらここまでの話は嘘かもしれないといいます
あるいは一部が真実で、一部が嘘かも知れない
殺したのは1人か2人で、19人も殺してないかも知れない

そもそも人殺しというのも真っ赤なウソかも知れない

”「(略)それともただバーで、ゲームを楽しんでいるにすぎないのか」
「ゲームだって?なにをふざけたことを・・・」
「たったいまやっていたでしょう?嘘つきダイスですよ」”

はたしてこの男のいうことは本当なのかブラフなのか
どちらにしろ主人公が次に打つべき手はなんなのか



もしこの短編を30分のドラマにするとしたら、いろんなオチの付け方が考えられます
しかしオチがつけることがいつも最善というわけではありません

それにいつも自分に都合のいいオチ(結果)になるとも限らないのです

この小説も、最後は主人公(読者)に手番を譲って終わります
さあ、あなたは相手の宣言をチャレンジしますか、それとも・・・

とりあえず、こんなところで
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流星キック1998

Author:流星キック1998
チャンスがあればいつでもボードゲームがしたい!誰か遊んでプリーズ

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